9月1日は防災の日|キャンプ道具はそのまま備えになる。標高約700mの高原で試す「停電の夜」の1泊と持ち物チェックリスト(三景園)
9月1日は防災の日。そして8月30日(日)から9月5日(土)までは防災週間です。この時期になると「非常持ち出し袋を点検しましょう」という呼びかけを目にしますが、袋を開けて中身を並べてみたところで、ほとんどの道具は使ったことがないままだったりします。乾電池は液漏れしていないか。ランタンは何時間もつのか。カセットコンロで湯を沸かすと何分かかるのか。答えられないまま、また袋を閉じる——そんな年が続いている方も多いのではないでしょうか。
一方でキャンプをする方は、ここで少し有利な立場にあります。ランタン、カセットコンロ、寝袋、クーラーボックス、給水袋。防災バッグに入っているはずのものを、すでに使い慣れた道具として持っているからです。あとは、それを「非常用」ではなく「いつも使っているもの」として扱うだけ。この記事では、キャンプ道具を備えに読み替える考え方と、山梨県北杜市・標高約700mの南アルプス三景園オートキャンプ場で家族と1泊しながら停電の夜を実際に試してみる過ごし方をまとめます。
9月1日は防災の日|キャンプ道具は「しまい込まない備え」になる
防災の日は、1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災と、1959年(昭和34年)9月の伊勢湾台風をきっかけに、1960年(昭和35年)の閣議で定められた記念日です。あわせて1983年(昭和58年)には、8月30日から9月5日までを防災週間とすることが中央防災会議で決められました。2026年でいえば、防災の日は9月1日(火)、防災週間は8月30日(日)〜9月5日(土)にあたります。
この時期に各所で語られている考え方が「フェーズフリー」です。一般社団法人フェーズフリー協会によれば、フェーズフリーとは、身のまわりのモノやサービスを、日常時はもちろん非常時にも役立つようにデザインしようという考え方のこと。防災用品の多くは普段しまい込まれていて、非常時にだけ取り出して使うものですが、フェーズフリーな道具は普段の暮らしで便利に使えて、もしものときにも役立ちます。
キャンプ道具は、この考え方とかなり相性が良いといえます。明かりを自分で確保し、火と水を自分で用意し、電気のない場所で一晩を過ごす——キャンプでやっていることは、停電や断水が起きたときにやることとほとんど重なっているからです。しかも道具は年に何度も使うので、電池切れや故障に気づきやすく、使い方を体が覚えています。
食料についても同じ発想があります。農林水産省が家庭備蓄としてすすめている「ローリングストック」は、普段の食品を少し多めに買い置きし、古いものから食べて、食べた分を買い足すことで一定量の備蓄を保つ方法です。キャンプに行くたびにレトルトや缶詰、アルファ米を持ち出して消費し、帰りに買い足す。それだけで、特別な準備をしなくても備蓄が回り続けます。
備えの弱点は、たいてい「持っているのに使えない」ことのほうにあります。だからこそ、道具を年に一度は本気で使ってみる機会に価値があります。
停電の夜に効く5つの道具と、キャンプで確かめておきたいこと
停電と断水が同時に起きた夜、家の中で必要になるものは、実はそれほど多くありません。明かり、火と湯、体温、電気、水まわり。この5つを押さえると、一晩の見通しがぐっと立ちやすくなります。それぞれ、キャンプのときに何を確かめておくとよいかをあわせて挙げます。
明かり — ランタンとヘッドライト
停電時の明かりは、部屋全体を照らす面の光(ランタン)と、手元と足元を照らす個人の光(懐中電灯・ヘッドライト)を分けて考えると使いやすくなります。個人用の明かりは、ひとりに1つずつあると安心とされています。家族が別々の部屋にいるときや、トイレへ行くときに、明かりの奪い合いが起きないためです。
なお警視庁は、懐中電灯の上に水を入れたペットボトルを乗せると光が乱反射して周囲を照らせる、という簡易ランタンの活用術を紹介しています。キャンプ場でも実際に試せる工夫です。
キャンプで確かめること:点灯時間はどのくらいか/予備の電池はどこに入れているか/子どもが自分で点けられるか。
火と湯 — カセットコンロ
停電しても、カセットコンロがあれば湯が沸きます。温かい飲み物と汁物があるだけで、非常時の消耗はかなり違ってきます。カセットボンベは日常でも鍋料理などで使うため、ローリングストックが効かせやすい品目でもあります。
ただし劣化には注意が必要です。日本ガス石油機器工業会は、カセットボンベを製造年月からおおむね7年以内を目安に使い切るよう案内しています。防災用に買い置きしたまま10年経ったボンベが押し入れから出てくる、というのはよくある話です。キャンプで普段から回していれば、古いボンベが残り続けることはありません。
キャンプで確かめること:ボンベの製造年月/風のある場所での火力の落ち方/ボンベ1本でどのくらい調理できるか。
火まわりの注意:テントやタープの内側など、囲われた空間で燃焼器具や炭を使うのは避けてください。一酸化炭素中毒は屋外のキャンプでも起こり得る事故です。調理も暖房も、風の通る屋外で行うのが基本になります。
体温 — 寝袋とマット
停電すると暖房も冷房も止まります。避難所や車中で夜を越す場面では、寝袋と、地面や床からの冷えを遮るマットが体温を守ってくれます。とくにマットは軽視されがちですが、下からの冷えは寝袋だけでは防ぎきれません。
キャンプで確かめること:その寝袋で何℃まで眠れるか/子どもが寒がったときに何を足すか/マットの空気が抜けていないか。
電気 — ポータブル電源とモバイルバッテリー
スマートフォンは、停電時には情報源であり連絡手段であり、明かりにもなります。だからこそ、充電手段が切れると一気に不安になります。ポータブル電源やモバイルバッテリーは、普段からキャンプで使っておくことで、残量の減り方や充電にかかる時間の感覚がつかめます。年に一度も使わずに保管しているだけでは、いざというときに残量ゼロ、ということも起こります。
具体的な機種の選び方は、以前まとめた2026年の注目キャンプギア5選の記事でも触れています。あわせて参考にしてみてください。
キャンプで確かめること:一晩でどのくらい減るか/どの家電まで動かせるか/充電ケーブルの規格が家族の端末とそろっているか。
水とトイレ — 給水袋と携帯トイレ
首相官邸は、飲料水の備蓄について1人1日3リットルを目安に3日分、大規模災害に備えるなら1週間分が望ましいとしています。加えて、飲料水とは別にトイレを流すなどの生活用水も必要になります。キャンプで使う給水袋やポリタンク、クーラーボックスは、断水時の給水所での水運びにそのまま使えます。
携帯トイレも忘れやすい品目です。成人の排泄回数は1人1日5回程度とされ、内閣府の指針にならえば最低3日分、できれば1週間分を見ておくと安心です。
キャンプで確かめること:家族が1泊で実際に使う水の量/給水袋を満水にしたときの重さ(10Lで約10kgになります)/携帯トイレの使い方を家族が知っているか。
標高約700mの高原で、家族と「停電の夜」を1泊やってみる

ここまでの5つを、机の上ではなく実際にやってみる場所として、キャンプ場はかなり現実的な選択肢になります。電気の来ていない区画にテントを張り、日が落ちたら自分たちで明かりを点け、カセットコンロで湯を沸かし、寝袋で眠る。これはそのまま、停電した夜の予行演習です。しかも失敗しても困りません。うまくいかなければ、次の朝に管理棟で相談すればいいだけです。
南アルプス三景園オートキャンプ場は、山梨県北杜市武川町にある標高約700mの高原のキャンプ場です。林間の落ち着いた区画と、南アルプスの山並みを望む眺望の区画があり、家族で静かに一晩を過ごすには向いた環境といえます。日が落ちてからの場内は市街地と比べて明かりが少なく、ランタンひとつの光がどれだけ頼りになるかを、実感として確かめやすい場所です。
区画についても少し補足します。三景園の区画サイトのうち、AC電源が使えるのはBサイトの一部区画のみです。「電気のない夜を試す」という今回の趣旨であれば、あえて電源のない区画を選ぶのもひとつの手ですし、はじめての方や小さなお子さま連れで不安があれば、電源のある区画を押さえたうえで「今夜は使わずにやってみる」という安全側の組み立てもできます。いつでも電気に戻れる状態で試せるのは、家庭での本番と違ってキャンプ場ならではの気楽さです。
炊事棟は場内にあり、一部の設備ではお湯も使えます(洗い物や調理のための設備です)。水の確保や後片づけで困りにくいので、練習の1泊としてはハードルが下がります。サイトの種類や設備の詳細はキャンプ場・設備のページにまとめてありますので、区画を選ぶ前に目を通してみてください。
夕方から朝までの流れ|練習の1泊はこう組み立てる
「停電の夜を試す」といっても、特別なことをする必要はありません。いつものキャンプの手順に、確かめる視点を一つ足すだけです。参考までに、1泊の流れを並べてみます。
15:00〜17:00|設営と、明かりの配置決め
テントを張ったら、暗くなる前に「どこに明かりを置くか」を家族で決めておきます。テーブルの上、テントの入り口、通路。停電時の自宅でも同じことを考えることになります。
17:00〜18:30|日没前に、湯を沸かしてみる
9月上旬の日の入りは18時台です。暗くなる前にカセットコンロを出し、湯を沸かして時間を計ってみます。「思ったより時間がかかる」「風で火力が落ちる」といった発見は、実際にやってみないと出てきません。
18:30〜20:00|夕食と、明かりだけの時間
食事のあと、いちど焚き火とランタン以外の明かりを消してみます。スマートフォンの画面も伏せて、5分だけ。子どもにとっては少し怖くて、少し面白い時間になります。「停電するとこうなる」という体感が、言葉での説明より確実に残ります。
20:00〜21:30|スマホの残量を確認して、就寝準備
一晩でどのくらい電池が減るのかを見ておきます。就寝前に火の始末を必ず済ませ、燃焼器具はテントの外へ。寝袋とマットで寝てみて、朝までに寒くて目が覚めたかどうかを翌朝に共有します。
翌朝|「足りなかったもの」を書き出す
帰り支度をしながら、家族で「あればよかったもの」を挙げてみてください。たいてい2つか3つ出てきます。それが、そのまま今年の防災バッグの買い足しリストになります。
夜の過ごし方をもう少し広げたい方は、楽しみ方のページもあわせてどうぞ。なお、9月下旬に予定を組むなら、シルバーウィーク(9/19〜23)の連休の組み立て方をまとめた記事も参考になるかと思います。
そのまま防災バッグに移せる持ち物チェックリスト
キャンプから帰ったあと、道具を家の倉庫に戻す前にもう一度見てほしいリストです。ここに挙げたものは、キャンプでも防災バッグでも役割が変わりません。
明かり
- LEDランタン(家族の人数分+1つあると安心)
- ヘッドライトまたは懐中電灯(ひとりに1つ)
- 予備の乾電池(サイズ違いに注意。使用推奨期限も確認)
火と湯
- カセットコンロ
- カセットボンベ(製造年月からおおむね7年以内のもの)
- 風防、ライターまたは着火用具
- クッカーまたはケトル
体温
- 寝袋(使用温度の目安を確認)
- マット(地面・床からの冷えを遮るもの)
- 上に羽織れる1枚(9月の高原は朝晩の冷え込みに差が出ます)
電気
- ポータブル電源またはモバイルバッテリー(出発前に満充電)
- 充電ケーブル(家族の端末の規格をそろえておく)
- 手回しまたは電池式ラジオ
水と衛生
- 給水袋またはポリタンク(満水時の重さも確認)
- 飲料水(1人1日3リットルが目安)
- 携帯トイレ(1人1日5回分を目安に日数分)
- ウェットティッシュ、ゴミ袋、常備薬
食べもの
- レトルト・缶詰・アルファ米など(キャンプで消費して買い足す)
- 使い捨ての食器またはラップ(洗い物を減らせます)
このリストのうち、キャンプで一度も使わなかったものがあれば、それが今年の弱点です。次の1泊で試す候補にしておくとよいかと思います。
9月上旬は残暑と秋雨の両にらみ|装備で気をつけたいこと
「9月に入れば涼しくなる」と考えて装備を組むと、今年は少し外れるかもしれません。気象庁が2026年8月27日に発表した1か月予報では、9月に入っても厳しい残暑が続き、東日本や西日本では猛暑日となる所もある見込みとされました。関東甲信を含む東日本の気温は平年並みか平年より高く、秋の訪れは遅くなりそうだという内容です。
標高約700mの高原は市街地に比べて過ごしやすい傾向はありますが、それでも日中は暑さを見込んだ装備が要ります。日よけのタープ、多めの飲み水、風を通す服装。一方で、朝晩は昼との差が出やすいので、羽織るものを1枚は持っていくと安心です。「昼は残暑、朝晩だけひんやり」という前提で組み立てるのが、今年の9月上旬には合っていそうです。
雨と風の備えも要ります。台風の上陸数は月別の平年値(1991〜2020年)で9月が年間で最も多く、平均1.0個。接近数も8月と並んで3.3個です。あわせて秋雨前線の影響も受けやすい時期で、1か月の雨量が平年並みでも、短期間にまとまった雨が降らないという意味ではありません。予約した日の天気が崩れそうなときは、早めに情報を確認し、迷ったら安全側に判断してください。日程の変更やキャンセルのご相談は、早いほど調整しやすくなります。
- 雨具(傘ではなくレインウェア。撤収作業は両手が使えたほうが楽です)
- グラウンドシートと予備のペグ・ロープ
- 濡れたものを入れる大きめの袋
- 羽織るもの1枚と、朝晩用の靴下
ちなみに、雨の日の備えは防災の備えとかなり重なります。濡らさない、冷やさない、乾かす。この3つはどちらの場面でも効きます。
まとめ|備えは「持っているか」より「使ったことがあるか」
防災の日にできることは、非常持ち出し袋を開けて閉じるだけではありません。ランタンを点け、湯を沸かし、寝袋で眠る。その一晩を家族で過ごしておけば、次に本当に電気が止まった夜、少なくとも「何をすればいいか分からない」状態にはなりにくくなります。
標高約700mの南アルプス三景園オートキャンプ場は、静かな夜と、いつでも管理棟に相談できる安心感の両方がある場所です。9月は残暑が残る見込みですが、朝晩の空気は少しずつ変わってきます。防災週間の週末に、あるいはその次の週末に、家族で一晩試してみてはいかがでしょうか。
空き状況は日によって動きます。予定が決まりそうなら、早めにカレンダーを確認しておくと調整しやすくなります。